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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.29「好奇心格差が広がり続ける世界と日本に思いを馳せてみた」

参考:メルマガバックナンバー 2022.7.7 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.29「好奇心格差が広がり続ける世界と日本に思いを馳せてみた」

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.29
「好奇心格差が広がり続ける世界と日本に思いを馳せてみた」

「子どもは40000回質問をする」
イアン・レズリー (著), 須川綾子 (翻訳) を読み、
好奇心格差が経済格差を生んでいると現代社会に思いを馳せてみました。

最近、世の中の雰囲気が急速に悪くなってきている。
ロシア・ウクライナ危機を発端とする、資源問題や食料問題。
急激な円安で、輸入品の価格高騰。

アメリカのインフレ率が8.6%とすごく高いが、賃金も同様に上がっている。
日本では、賃金が上がらずに食料品や燃料、電気代などのインフラの値上げがすさまじい。

先日、スーパーマーケットで4つパックのヨーグルトを買おうとしたら、どのメーカーも一律190円だった。2ヶ月前だったら、130円くらいで特売品が売っていたのに、体感的に46%の値上げだ。
小学校の給食が1日200円だったのが、20円値上げと10%アップを言われた。
電気代は概ね30%アップ。
どこもかしこも値上げラッシュ。

では経済としてはどうなのか?
世界各国でインフレが起きている。
顕著なのはアメリカだが、物価が上がり賃金も増えている。
シリコンバレーの初任給が1000万円をこえるなんて言うのは聞いて久しいが、
生産性が高いからこそ賃金に反映できるのだ。

いまだにDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まず、
生産性が低いままの日本では、もちろん賃金があがらない。

余談だが、この前、DXのための補助金「ものづくり補助金 (通称:もの補助)」を申請したら、ネットでできるのだが、中身は写真を貼ったり、その写真に決められたフォーマットのテプラを貼ったりしなければならず、窓口以外は全てがアナログ作業。
あまりにも現実離れしていて、なんと皮肉な世界だと笑ってしまいました。
生産性の概念がどこにもない。
処理仕事のための処理仕事的な。
まさにブルシット・ジョブだ!!

そんな中で冒頭の本を読み、
日本社会にはびこる停滞感と、
アメリカやアジア、中国などの躍進感は、
まさに好奇心格差なのではないかと感じたのです。
 

本の話を少ししてみようと思います。

『子どもは2歳から5歳の間に4万回説明を求める質問をする。』
『そして新しい知識が身につくと、その周辺へも興味がいき、さらに質問をする。』
知らないことを知るからさらに興味が出るのだ!

『好奇心は、「知っていること」と「知っていること」の合間に空白があると、さらに湧き出てくる「学習領域の最近接領域」と言える』

これは子供だけでなく、私のようなおじさんでも同じで、
知りすぎていることに、大きな魅力は感じないし、
そもそも知識がないものに興味はわきづらい。

車好きの友人と話しても、車の構造をあまり知らない自分は、好奇心が刺激されないので、すぐに会話が終わってしまう。
一方、私は昔、ワインの仕事をしていたので、ある程度のワインの知識と経験があるため、ワイン好きの方と話をしたり、詳しい人に出会うとどんどん質問をして、新しい産地のことや、最近のワイン事情が聞けると楽しい。

 

「拡散的好奇心」を整える知識と質問力

「好奇心」と言っても闇雲の手当たり次第に手を出していくのではなく、
「自分は何を知りたいのか」と、
しっかりと質問できる力が必要だ。

Googleがより便利になってきた昨今、
知識は蓄えるものでなく、「情報にアクセスする技術」が必要になるだけで、だから暗記はいらないという雰囲気を感じる。

実は自分も暗記はいらないし、詰め込み教育には反対!
と思っていたし、
今は Googleに質問(検索)したら、
ほとんど何かしらの回答がもらえるから大丈夫
って、あんまり考えることなく思っていた。

でも、Googleが伝えてくる情報は、比較検証されていない情報である。
もちろん提示された情報を鵜呑みにすることなく、さらに質問を続ければより洗練されていくが、果たして、そこまで考えて使用している人はどのくらいいるのでしょうか?

自分の脳のエネルギーを全く使わずに得た知識は、ものになるのでしょうか?
きっとスルスルと落ちていき、知識にならず、ただその場だけの情報になるのではないでしょうか?

100点からの減点方式の日本の教育の弊害が、
このGoogle頼みの、
簡単に正解を見つけることで満足してしまう大人
を産み続けているのでないか?

amazonを開くと、「あなたにおすすめの書籍はこちら」と、今までの購入履歴から推測された本が提示される。
Spotifyを開けば、「本日のおすすめはこちら」と提案してくる。
世の中便利になるのはいいが、どうも思考するエネルギーが奪われ、消費するエネルギーに無理やり変更させられている気がする。

 
このように
情報が溢れ、
いつでも必要な情報が取り出せて、
いろいろ提案までいただける現代社会は、
個人の情報のみならず、知的エネルギーまでもを吸い取られている気がしてしょうがない。

そして、その吸い取っている相手はGAFAMなどの世界の巨大企業。
この文章も、MacBookでGoogle docにアクセスして書いている。
それをFacebookで告知するのだろう。。
なんという皮肉。

では、吸い取られないためには、どうすればいいのかと言うと、
能動的に知識を喰らいにいき、
自分の頭で考える時間をもち、
人と対話すること
なのかなと思う。

一概に詰め込み教育が悪い訳ではない。
まず、基本的な知識(一般教養)を蓄え、
そこから興味があることの周辺を調べ、
それを有機的に結合していくことが必要なのです!

 

幼児教育の中で必要なこと

賃金上昇のないインフレという、まさに閉塞感がはびこり始めた日本の中で、今を生きる我々の責任は、これからの世界をを作る子ども達に、この搾取される世界をサバイブする力を与えることである。
 

「探求学習」
「人と対話すること」
「デジタルネイティブな子ども達へのデバイスを使ったプログラム」
*先日参加させていただいたスウェーデン講師の研修でも、率先してデジタルデバイスを活用されていてびっくりしました。

そして、その根底にあるのが、
安心して過ごせる場所、自分を出せる場所を作ることです。

この本の中でも、
『不安を感じている子ども達は、身体的にも精神的にも情報収集のための検索を行わない傾向が高くなる』と書いてあります。

子どもが初めて行った児童館で、なかなか親から離れられないのは、
不安だから。
でもしばらくして、親が近くにいて「大丈夫だよ」というシグナルを送ってくれていて、「ここは安心できる場所だ」と感じることができた子どもは、親から離れて探索をはじめる。

好奇心は「愛」によって支えられているのです。

親や、保育者たちが、子ども達の環境を、愛情で満たし、
自然と好奇心が刺激されるような場所にしていくことがとても大切です。

そして、そのためには、
我々大人が、常に好奇心を持って、新しい知識を蓄え、
実行していくことが大切です。

子ども達のためにと思って行動した結果が、
今の閉塞感をぶち破るきっかけになるかもしれません。

 
 

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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.28「保育施設がフォーラム(公共広場)として機能する未来に向けて」

参考:メルマガバックナンバー 2022.6.16 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.28「保育施設がフォーラム(公共広場)として機能する未来に向けて」

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.28
「保育施設がフォーラム(公共広場)として機能する未来に向けて」

保育施設の量的供給のフェーズがいよいよ終了です。
東京都 待機児童激減 8500人⇒300人
https://www.fnn.jp/articles/-/368891
(参照先:FNNプライムオンライン)

そして、21年の出生率が1.30と6年連続で前年を下回っている状況。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA02A7D0S2A600C2000000/
(参照先:日本経済新聞)

これからの保育業界は、少子化と、施設の供給過多のダブルの影響で、非常に運営側にとって難しい時代が来てしまいました。

小規模保育のこれからを、どうするのか?
幼稚園の認定こども園化、
保育園はどう対応していくのか?

さまざまな課題があります。

使い古された感のある言葉ですが、
「選ばれる保育園」
にならなければならないのは誰もがわかっていることでしょう。

では、そこで、どのようにしていくべきか?

いくつかの団体が声をあげているのが

「保育所の多様化」

今までの多様化の国のメニューとしては、

  • 延長保育事業
  • 障害児保育事業
  • 地域子育て支援事業のための園庭解放
  • 地域子育て支援事業のための相談支援
  • 一時預かり事業
  • 不適正な養育が疑われる家庭への介入
  • 病児保育事業

などでした。

ここで、NPO法人フローレンス代表の駒崎氏が、
国へ働きかけ提言したのが
「みんなの保育園」構想
要は就労条件がなくても誰もが保育を利用できるようにすることで、
24時間ストレスフルな育児中の家庭に、これから起こりうる保育所の定員割れの枠を自由に利用できるようにすることです。

これは非常に理に適っていると思います。

子育てを社会でできることに繋がります。

子どもを所得制限、労働の有無などで差別することなく、国の宝として大切にしていく文化が育まれていくと想像できます。

保育園をフォーラム(公共広場)化していく

「みんなの保育園」のような施策が広がっていくと、子育てに関わる人が保育園に自然と集まってくることになるでしょう。

レッジョ・エミリアの実践の中で生まれた本

「保育の質」を超えて:「評価」のオルタナティブを探る

グニラ・ダールベリ (著), ピーター・モス (著), アラン・ペンス (著), 浅井幸子 (翻訳)

 

この本は、
保育所が地域の中のハブになることで、いかに子どもにとって、社会にとって好循環が生まれてくるかを伝えてくれています。

P.125
『市民社会フォーラムとして機能している保育施設は、ローカルな民主主義の再構築でなく福祉国家の再建に貢献する』

保育施設が真の民主化の出発点になる可能性について言及しています。

P.207
『ネットワーキングの保育施設』
『保育施設長と地区の乳児サービスのマネージャー、政治家との交流が必要!』

自治体の中でさえ部署間が連携されていなく、どこも他人事に感じてしまうことが多い日本、子ども中心にするためには繋がり合わないと何も変わらない!

P.223
『教育ドキュメンテーションが教育実践を可視化し、民主的で開かれた議論の対象とすることによって保育施設は社会にとって新たな生産性を得る。』

これですね。
まさに保育施設が、地域におけるフォーラム(公共広場)となり、
教育や民主主義を大いに対話できる場所になり、
そこに親と子どもたちという、これからの日本を支える人が集っている
という形。

これらのことを、イタリアの都市 レッジョ・エミリアや、
その手法を取り入れているスウェーデン、ストックホルムでは
1980年、1990年代には実装しているのです。

日本は、20年30年遅れているのです。

しかし、ここで勇気を貰えるのは、他国でできているということです。

諦めることなく対話を重ね、
自治体の保育課を巻き込み、
子ども関連の部署を巻き込み、
地域の教育機関を巻き込むことができれば、
一つの自治体が変わります。

一つの自治体の成功体験ができれば、
他の自治体に広がっていき、
日本中に広がっていくというビジョンが見えてきませんか?

そして、それが一つの保育施設から始まるストーリーが想像できませんか?

と、とても興奮します。

今ある暗い雰囲気に流されるか、
「次の時代を作る」という意志を持って前へ進むか。
それによって選ばれるかどうかが決まってくると思います。

まずは、私たちから地域に働きかけていきましょう!!

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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.27

参考:メルマガバックナンバー 2022.5.2 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.27「アウトプットしないと伝わらない」

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.27
「アウトプットしないと伝わらない」

先日、メルマガの号外でお伝えしたのですが、
この度、第2冊目の本を出版いたしました。

4月29日発売
発達障がい、グレーゾーン
 発達が気になる子どもへの関わり方を教えてください!

本を書くことは、
自分達の思いを外に発信する
とても有効な機会であることは間違いないですし、
本を書くためには、
自分達の考えや意見を研ぎ澄ませていく過程がとても大切になります。

今回の本は、児童発達支援事業の先生たちと協力し作成いたしました。
みんなで話しあった内容を、文章にして、
また出来上がった文章を、みんなで読み、
おかしなところや、もっと違う表現があるかな?と校正していく。
何を言いたかったっけ?
なんて頭の中がくるくる回っていくことも多く、とても骨が折れる作業です。
しかし、このように思い悩むことがなければ、
人に伝える自分の考えや意見は固まって行きません。
そんな試行錯誤を経て出版することができました。

日々の家庭での関わり方、
集団生活での関わり方など、
課題感のある児童への関わり方を、
場面ごとにわかりやすく説明している内容の本です。
保護者の皆様や、保育園、幼稚園、小学校の先生たちにも読んでいただきたい内容となっています。

なぜ私がこの本を書いたのか?

療育支援は、いつも子ども達に
「がんばれがんばれー」って行動変容を促していく支援です。
課題感を克服するためにはとても大切なアプローチです。
いわゆる医療モデルです。

でもこれって、子どもへの負担もすごく大きいのです。
週5で療育に通って、毎日「がんばれがんばれー」と働きかけられる子ども達の中には、しんどいなと感じる子どももいるかもしれません。

では、療育施設ではない場所、
例えば、保育園や幼稚園が、発達に課題感のある子ども達にとって居心地の良い場所になったとしたら、子ども達も無理に頑張らなくてもよくなるよー。
ここ、施設周りが変われば、障がい度合いが下がっていくよね。
という考え方、
これが社会モデルです。

私が地域で児童発達支援事業所など福祉サービス事業所を増やしているのは、
地域での受け皿をふやしていくこと、
この社会モデルを意識して展開しています。

しかし、受け皿ばかりが増えてしまっては、
そこに分断が生まれてしまいます。
療育に通う児童は療育施設だけしか行けないというのは、
やはりおかしい。

保育園、幼稚園、小学校、地域の集まり、スポーツクラブなどで
共に育つ時間が、子供達の発達においてとても大切です。

けれど、実際に関わる先生達は、発達に課題感がある子ども達へ、どのように関わって良いかわからない。だから「ウチではお預かりできません。療育へ通ってください…」と言うしかなくなるという現実があります。

私は、発達に課題感のある子ども達のことを、障がいを持っているとは思っておらず、一つの個性であるという認識をしています。

支援をしていく上で、
子ども達が感じていることや、
見えている景色など、
子ども達の気持ちを想像し、共感することがとても大切である
と考えているため、
常に子ども視点で物事を考える癖がついています。

その上で、
どこが困っているのかな?
いや本人は困っていないけど、
この場面では周りに合わせられる方がいいかな?
と、支援内容を考えていきます。
あくまで、それぞれの子の違い=個性的なところ を受け入れることが大切だと考えています。

しかしながら、保育園、幼稚園、小学校、地域社会に置いて、まだまだ「違い」を「障がい」と捉えて、どのように接していいのか わからない先生もいらっしゃるため、「現場では保育できない」といわれてしまう「分断」が起きてしまっているのだと思います。

特に、それぞれの子どもに向かい合っていきたいのだけれども、どのように関わっていけば良いのかわからない、誰に相談して良いかもわからない という保育・教職の先生達から「困っている」という声を多く聞きます。
「知らない」「わからない」からこそ、安易に「分断」という選択肢を使っているのだと思うのです。

そこで、
現場の先生や、子育てに関わる人に
ある程度、療育視点の知識をもっていただけたら世界は変わるかもしれない
と思い、この本を作りました。

今回の本は、専門的な言葉をほとんど使うことなく書き上げましたので、
非常に読みやすい本になっております。
たくさんの方に読んでいただき、
地域全体が子育てに優しい環境になってくれたらいいなと思います。

自分の考えや、経験を、たくさんの方に知ってもらうことが第一歩だと思い、
今の私の使命は、この本を少しでも広めることです。

このようにアウトプットすることで、
もしかしたら世界を少しだけ変えることができるかもしれません。

そこで、皆様にご協力いただきたいのです。
この本の趣旨にご賛同いただけましたら、
ぜひともご購入いただきたいのです。

↓発売キャンペーンも行います!
https://mailchi.mp/2f6333babce5/newrelease0429
発売記念講演など実施いたしますので、
上記のURLよりお申込みいただき、ぜひともご参加いただけると嬉しいです。
そして、そして、ご自身の周りで、子どもの発達に悩みを抱えている方がいらっしゃいましたら、ぜひともこの本をご紹介いただきたいです。

応援のほどよろしくお願い申し上げます。


発達障がい、グレーゾーン…
発達が気になる子どもへの関わり方を教えてください!

 
 

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代表 中村敏也

 

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保育園運営の教科書

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.26

参考:メルマガバックナンバー 2022.3.10 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.26「委員会、始めました(1人3役の薦め)」

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.26
「委員会、始めました(1人3役の薦め)」

 
日本にある企業は、大半が中小企業です。
組織がしっかりしていて、人材が豊富な大企業のような会社は、ほとんどないと思います。

私たち元気キッズグループも、常に人材不足。
毎年、新たにいくつかの事業所を開所するために、育成途中の人材でも新規の立ち上げに回ってもらうなんていうことばかりです。
 
みなさんの組織でも、
人材不足を感じたり、
職員それぞれの能力が十分に育っていない
という悩みを持つことが少なくないのではないしょうか?
 
そこで、まず考えることといえば
「研修」
職員1人1人のレベルを上げるために、
研修制度を導入している組織は多いと思います。
 
研修は、
ちゃんと狙いを定めて行えば、とてもとても効果的です。
意欲のある職員が集い、意欲のある講師によって、良い場が作られていきます。
 
なんと素晴らしい光景なんでしょうか!!
 
その光景を眺めているだけで、
意欲に燃えた職員ばかりで、なんて素晴らしいのだろうと、
胸いっぱいになることでしょう。
 
…しかし、
研修が終わって、しばらくしても、
あまり変化の起きない現場を見ることがあります。
 
あれ?おかしいなぁ?
研修の後ってこんな感じだったっけ??
と首を傾げることがありませんか?
 

何がいけなかったのでしょうか?
 
ちょっと考えてみましょう…
 

そうです。
研修は大変素晴らしいものでした。
その場で聞いたことは、確かに素晴らしかったし、やってみようと思ったのです。
 
しかし、現実は甘くはありません。
日常業務に忙殺された職員たちが、新しいことにトライするのは非常に大変なのです。
 
そして時間がたち、
研修の内容も頭の中から消えていき、
何も変わらないままになってしまう…
 

このメルマガの読者であっても、セミナーに行って良い気分になったけど、結局、何も変わっていない自分に気づいた…なんて経験がある という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ちなみに私は、そんな経験ばかりしてきました。
 
それは、
ただ研修を受け身で受けているだけで、
できた気になったり、当事者としての意識が少ないから、
行動変容まで行き着かなかったのです。
 
これでは時間と、研修時の賃金の無駄になってしまいます!!
 

そこで、私たち元気キッズグループでは、
「職員を当事者にしてしまえば良いぞ!」
と委員会を発足しました。
 
ICT業務改善委員会
社員教育研修委員会
保育計画委員会
監査対策委員会
などなど。
 
そして、各施設長を強制的に委員に任命しました。
1人が必ず2つ以上の委員に所属するようにしました。
 

この委員会の狙いは

  1. 自分たちで考えることで、当事者意識を持ってもらうこと。
  2. 1人で複数のことを兼任できるようになれば、少数精鋭でも効率的な組織運営を目指せること。
  3. 委員会で決定した内容を各施設へ、自らプレゼンを行う必要があるため、プレゼン力が高められること。

これで、みんなレベルアップだーっ!
 
て思ったのですが…
 
現実はそんなに甘くはありませんでした。
 
議論を活発に行っている委員会もあれば、
あまり盛り上がらない委員会もある。。。

みんな意欲に燃えて、他人のことを思いやる、
本当に素晴らしい職員たちなのですが…。
 

その差はなんだったかというと、
 
「その委員会のリーダー格のファシリテーション力」
でした。
 
ファシリテーション、つまり、ものごとがスムーズに進んでいくように引っ張っていく力、場を作っていく力の違いで、議論の質、成果が大きく大きく変わってくるのです。
 

そこで、
全てを委員会任せにするのではなく、経営層が、あまり盛り上がっていない委員会には積極的に関与し、時にはファシリテーションを買って出たりと、丁寧に接していくと、停滞していた委員会も、どんどん活発な意見が飛び交い、エネルギーを生み出してきました。
 
また、この委員会制度は「1人が複数の委員会に所属している」ので、盛り上がってる委員会の熱量が、他の委員会にも波及していき、結果として全体的なレベルアップに繋がっていきます。
 

委員会を立ち上げた結果、
職員の

  • ①当事者意識
  • ②1人2役、3役を担うことでの視野の広がり

を今のところ感じています。
 
今後は、

  • ③プレゼンテーション能力

をどう高めていくかが課題です。
 
まずは、3月の社員総会に、
施設長のプレゼン時間を確保し、
発表する場を作ることから始めてみます。
 
ぜひ、みなさんの組織でも、
委員会を組織して、発表する場を作ってみて下さい。
きっと職員のみなさんの新しい面、能力などを発見できると思います。
 
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保育園元気キッズ 代表 中村敏也

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保育園運営の教科書

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.25

参考:メルマガバックナンバー 2022.2.17 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.25「第6波と保育について」

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.25
「第6波と保育について」

保育事業者としての心の声を聞いてください。
*今回の内容は、多分に心情が反映されており、不愉快な想いをされる方がいるかもしれませんが、あえて保育事業を運営している私たちの生の声を届けたく、荒々しい内容となっております。
 

令和3年12月に新たな波、オミクロンがやってきた。
感染力が今までの10倍みたいなことを聞いていたのに、ファクターXがあるかもしれない日本人は、きっと今まで通りに対策をしていれば平気なんじゃなーいなんて呑気に構えていた。

雰囲気が変わったのは、年が明けてから。
感染者の増加数に、今までと性質が全く違うことに驚いた。

今までと何かが違うと感じ、
年明け早々に、
「この波は今までとは性質が大きく異なるから、きっとすごい数の感染者数になるぞっ」と職員達に伝えた。

この時は、
「心構えがあればどうにかなるさ」という予防線をはった感じでいた。
本当は、今までと何がどう違うか分かっていなかったのだが、騒いでみただけだった。
日を重ねるごとに、感染者数が過去に経験がないペースで増えていく中、感染対策を徹底しよう!なんて、いつも通りの声がけをしていた。
 

そのうち職員から緊急連絡が入りだした。

  • 主人が陽性で濃厚接触者になったため出勤できません!
  • 息子の小学校でクラスターが起きて、学級閉鎖になり出勤できません!!
  • 子どもの通う幼稚園が閉園になって出勤できません!!!
  • 子どもが陽性になって、家庭内感染の可能性があるので出勤できません!!!!

みんな申し訳なさそうに、
あたかも責任が自分たちにあるみたいに話し、
泣き出す職員もいた。
 

そして2月初めにはあっという間に保育園に「働ける職員」がいなくなった。
 

国の通達では、保育士の配置基準を満たさなくても運営可能だというので、
少ない職員で運営をしたとして違法ではない。
 

ー そんなことしていいのか?と自問する。
 

ある政治家は、濃厚接触の定義をすぐに変えて、
保育園を止めるな!みんなが働けなくなるだろーって叫ぶ。
 

ー 我々保育の現場の職員のことをどう思っているんだって憤る。
 

保育園を閉めると働けなくなる家庭がでて、困るのは十分承知です。

ですが、
今まで
少ない人数で保育することって、あれほどダメじゃんって言ってたじゃん。
配置基準を満たさない保育所は監査の項目で公表するって脅してきてたじゃん。。

濃厚接触の定義を変えてすぐに保育士を現場にもどせって言うけれど、
保育士だって感染リスクど真ん中で、心をすり減らして頑張っているんですけど!!!
 

肌あれがひどい保育士が、ウレタンマスクをした上に不織布マスクをしていたら、保護者からクレームが入った。
命を守るものが、適切なマスクの仕方もしないで、そんなんで命を守れるのか!って。
看護師資格のある市役所職員からマスクは適切に使用してくださいと指導が入る。

えっと、保育中、ずっとマスクを隙間なく顔につけていることなんて、ほぼ不可能ですけど、それを真顔で言うのですか?
 

もちろん、
感染対策は行いますが、
医療従事者とは、衛生環境も、体制も、もらっている手当も、何もかも違うのに同列にしないでよ!
 

今まで押し殺していた感情がぽろぽろと零れ落ちてきて、涙がでてきた。
 

保育士に人権はないんですか?
仕事としての誇りを持たせてくれないんですか?

尊厳を奪わないでください!!お願いします!!!
 
 

先日、2歳児にマスクを奨励するって報道がありました。。

非現実的すぎる。

マスクをしながら日中支援で動き回る職員からマスク着用の現状が届く。

片頭痛がひどくなりました。
肌荒れがひどくて大変です。
子どもたちにマスクを外した自分の顔を覚えてもらえてないのがつらいなど。
 

こんな身体的、精神的負担を乳幼児にも与えるのですか?
 

乳児は、口の形で言葉を覚えたり、感情を理解し、発達し成長していくもの。
その経験をしないで育った乳児たちのこれからを想像すると恐ろしくなります。

マスクをする大人に囲まれ、息苦しいマスクをさせられる子ども達。
子どもが当たり前にもっている、豊かに発達する権利はどこにいったのだろうか?

フランス政府は、子どもたちが育つ環境に配慮しながら、表情が見える透明素材でできたマスクを保育・教育現場に「一斉配布」したと聞いたが、日本政府は、大人目線でのみ施策を考えているように見える。

政治家の皆様、一度、1日保育に入ってみてから発言してほしい。
いや、周りの方、秘書さんでもいいので体験して、ぜひ実状を報告してください。
 

最近、とても怖いと思っていることがあります。

京都大学大学院教育学研究科
教授 明和 政子先生による
教育シンポジウム「コロナ禍でのヒトの育ち」
の中で指摘がされていましたが、

乳児の発達段階の中の感受性期(生後2ヶ月から未就学児の頃)は、環境により神経ネットワークが大きく変化する。
特に視覚野は、生後8ヶ月ごろから表情認知ネットワークが経験により顕著に変化する。
大きな表情の動きなどを目で見て、もの真似をして、他者の感情を理解していく過程が、感受性を育む。
マスクによって、表情を隠された状況では、相手の気持ちを理解する力、Empathyが育まれにくいのです。
 

保育の現場で起きていることに違和感があります。

初めて訪れた乳児が、簡単に親から離れ職員に抱っこされている姿。

これは職員のあたたかさから、すぐに慣れているわけではない。

乳児は、大人たちがマスクをしているから、だれがだれだか認識ができていないから、簡単にだっこを許すのです。

これってすごく怖いことです。
大切なアタッチメント形成の時期に、表情の変化による認識能力が欠けてしまう子ども達は、どんな育ち方をしていくのでしょうか?
 
 

私たち保育に関わるものは、
それでも保育をあきらめることなく全力で保育をします。
 

どうか、社会が、子どもの発達のこと、子どもの権利のこと、子育てしにくい環境の中で頑張っている保護者のこと、現場を支えている保育者のことをもっと理解してもらえるようになることを切に願っております。
 
 

最後に、
このような内容をメルマガで配信することは意味がないかもしれませんが、
メルマガ読者の方々に知っていただいただけでも、少し救われる気がしております。

そして、私自身、このような声を、
行政側にどんどん発信していかなければならないと思っています。

コロナ禍で、みんながみんな、
それぞれの場所で、それぞれの立場で必死に踏ん張っています。

行政の方だって、保育園だって、サービス業の方だって、みんな必死です。
そんな中で、自分の業界のことを分かってくれよって、受け身でいては、
大切な事が伝わらないと思います。

ぜひ、理不尽さを抱える保育者の皆様、また、同業の皆様、その他の業界の皆様も、現状に理不尽さや問題があれば声をあげていきましょう!
 
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株式会社SHUHARI
保育園元気キッズ 代表 中村敏也

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子どもたち、保護者、保育士にとって、とても幸せな世界になることを願って、少しでもお力になれれば幸いです。

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保育園運営の教科書

中村 敏也

Nakamura Toshiya
埼玉県内に、保育園、児童発達支援施設、保育所等訪問支援事業所、病児保育室、放課後児童クラブ、相談支援事業所を運営。子どもが笑顔で過ごせる保育園にするためには、職員が楽しめる職場であることが重要。職員が意見を言いやすい職場の雰囲気作りや福利厚生面など、働きやすさも重視した環境作りに力をいれている。
株式会社SHUHARI代表取締役
株式会社sopo代表取締役
新座市子ども子育て会議委員
中村敏也