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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.31「新卒離職8年間0人を実現した元気キッズの新人育成」

参考:メルマガバックナンバー 2022.9.15 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.31「新卒離職8年間0人を実現した元気キッズの新人育成」

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.31
「新卒離職8年間0人を実現した元気キッズの新人育成」

2015年くらいから保育士不足が激しく言われるようになり、
当時の元気キッズは新卒の離職が少ないということで新聞や、WEBメディアで取り上げられ、少しだけ興味を持っていただくことがありました。

読売新聞
中村 敏也のブログ 読売新聞「「働きたい職場」をつくる」
70seeds
6年連続・新卒離職0の保育園 仕掛け人が語った「逃げない覚悟」

*年間離職が0人というのは今までの一期間の話です。
最近は離職0人というのは人材の流動化にとってあまり良くないのではないか、と思うようになり、全体で4%くらいの離職率が丁度良いと思っています。

当時の新卒と比べ、今、元気キッズに就職をしたいと来てくれる学生の層が、少しだけ変わってきました。
それは、専門、短大だけでなく、大学からも応募がくるようになったこと。

創業当時は、荒削りで、少しやんちゃな雰囲気のある保育学生が多いイメージがありましたが、最近は、とても賢く、受け答えもしっかりし、とても素直な学生が増えている印象。

面白いのが、当時の少しやんちゃな新人の方が、今では立派に主任やクラスリーダーなどに育っているというところ。
反対にとても素直でなんでもそつなくこなす新人が、途中で心の不調を訴えるケースがでてきました。

これは何かあるのではと思いました。
どこかに元気キッズの制度不良が出てきているのではないかと疑いました。

先日行ったCoDoMonでのセミナーで、
「世代別の時代背景を理解した接し方が大切」
という話をしました。

世代別時価値観のイメージ

個人個人の常識は、その時代の社会通念が大きく関わってきます。
そのことに意識を向けないと、ついつい自分たち世代が過ごしてきた常識を持って、他の世代に接してしまいます。
特に年上の方は「最近の若いものは・・・」という意識を持ってしまいがち。
エジプトのピラミットにもそのような言葉が書いてあったと聞いたことがありますので、人間は進化しない生き物かもしれません。

人生の先輩である私たちは、
新人に一端を担う社会人として育って欲しいと愛を持って思っています。
そのために具体的に何をすれば良いのでしょうか?

前回のメルマガ
https://kodomoo.org/blog/605/
で紹介した本
「先生、どうか皆の前でほめないで下さい:いい子症候群の若者たち」
 金間 大介 (著)

引き続きこの本からヒントをもらっていきましょう。

最近の若者の特徴として

  1. 周りと仲良くでき、協調性がある
  2. 一見さわやかで若者らしさがある
  3. 言われたことはやるがそれ以上のことはやらない
  4. 人の意見は聞くが、自分の意見は言わない
  5. 授業や会議、オンライン会議でさえ存在を消す
  6. 一番嫌いな役割はリーダー
  7. 自己肯定感が低い
  8. 競争が嫌い
  9. 特にやりたいことがない

なんとなく想像できませんか?
そうだよねーと激しく同意した人は立派な中年です(笑

当の若者たちは、これらのことになんの違和感も持たないでしょう。
だってそれが彼らの社会通念ですから。疑いすらないです。

彼らは学生時代に、競争でなく協調を学び、本音で語る対話でなく、会話でやり過ごし、いつも笑顔でなんとなく場の空気が乱れないよう配慮し、なんなら先生からの印象をよくすることで、なんとなく良い成績をとる技術ばかり磨いてきたのです。

しかし、学生から社会人になった途端に、学生時代に先生や仲間から求められていたことから、社会人生活の中で中年層(上司、先輩)が求めることとの大きなギャップに驚き、そして自信をなくし、心の不調を訴えるのです。
 
 
そりゃ、そうなりますね。
 
 
安全で守られた学校の中での成績や人間関係ばかり気にして、実社会でサバイブするための力を身につける経験がなかったら、そりゃびっくりします。

何より、大企業や公務員が「安全である」という理由で選ばれているのは、安全で守られている場所にいきたい証拠。しかし、大企業もいつ潰れるかわからないし、公務員はサービス残業ばかりでとても激務だということに社会人になってから気づき、びっくりしてしまうのです。

これは、先生が一方的に黒板の板書を奨励し、テストの点数と謎の内申点という先生の一方的評価のみで個人の優劣を決めてきた教育システムが、若者を受動的にし、なるべく目立たないように、でも人に気にいられるすべを身につけるようにしてきた大きなツケを押し付けてきたためです。
 
 
愚痴ばかり言っていてもしょうが無いので、
私たちは彼ら若者が、
自己肯定感を再構築し、
やりたいことを認識し、
自分の足で歩き始めるよう
に促さなければなりません。

昔からの背中をみて覚えろが、
いかに古いかわかっていただけましたでしょうか?
 
 
そこで、大切なのは月並みですが、
OFF-JT(Off-the-Job Training) 座学研修
O-JT(On-the-Job Training) 実地研修
One on One Meeting 個人面談

まず、OFF-JTでやり方を丁寧に伝え、
対話を大いに奨励し、自分の意見を磨く機会を与えましょう。

O-JTでは、
「なぜ今この作業をやっているか」を明確に伝えてから、
実践している姿を見せていきましょう。いきなりやらせるのはNGです。
また、仕事のレベルをあげることだけに注力することなく、新人の心のケアのために、ちょっと上の先輩にメンター※として活躍してもらいましょう。
※メンター=指導者や助言者、手本となり成長を支持する人

そして、個人面談は定期的に行います。
その際、「傾聴」を意識してください。
自分の意見は1割もいりません。全部聞くのです。
意見というのは人との対話で生まれていきます。
自分の意見に気づいていない新人達に個人面談で壁打ち相手になり、
彼らが言葉を作っていくお手伝いをしてください。
 
 
ここまで読んでいただいた皆様、
なんだか随分過保護だなって感じませんでしたか?
正直、私も少し過保護すぎないかなと思うところもあります。

しかし、育ってきた時代背景が違う新人たちに、私たち世代のやり方が絶対正しいとやり方を強要して行けば、なおさら自分で考える力を奪っていくことになるかもしれません。

大切なのは、
常に伝え方、研修の方法、どう育って欲しいかを、
我々自身が日々アップデートし、考えをやめないこと、
かなとも思います。
きっとその姿は新卒にも伝わるはずです。
 
 
あれ?結局背中を見せることじゃん!って思ったあなた!
大正解です(笑

新人が育つには、
育てる側が、
しっかりと揺るぎなく真っ直ぐに仕事に向き合っている姿であり、
新人たちに尊敬される上司であるべき姿が必要なのです。
 
 
まず人として、どうあるべきかを
既存職員に考えてもらい、実行してもらいましょう。
そして、その姿をみせて、
社会人=大人とはこうあるべきだと新人に伝えていきましょう。
そこから、わかりやすい研修、伝え方の工夫などが大いに生きてくるのです。
 
 

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株式会社SHUHARI
元気キッズグループ 代表 中村敏也

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中村 敏也

Nakamura Toshiya
埼玉県内に、保育園、児童発達支援施設、保育所等訪問支援事業所、病児保育室、放課後児童クラブ、相談支援事業所を運営。子どもが笑顔で過ごせる保育園にするためには、職員が楽しめる職場であることが重要。職員が意見を言いやすい職場の雰囲気作りや福利厚生面など、働きやすさも重視した環境作りに力をいれている。
株式会社SHUHARI代表取締役
株式会社sopo代表取締役
新座市子ども子育て会議委員
中村敏也