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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.14

参考:メルマガバックナンバー 2021.4.22 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.14 元気キッズの4つのルールと、新たな価値観

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.14
元気キッズの4つのルールと、新たな価値観をアップデート編です。

こんにちは。
株式会社SHUHARI 中村敏也です。

『たったこれだけで組織がうまく回るシンプルな4つのルール』

元気キッズには、働く職員のみんなが自分らしさを発揮し、
気持ちの良い関係性の中で働けるようになるために、
全員が大切にしている4つのルールがあります。

1.挨拶
2.礼節
3.人の話を聞く、他者受容
4.自分の意見を言う勇気を持つ。わかるように伝える。

少し詳しく説明します。

1.挨拶
挨拶をされると、なんだか受け入れられた気がします。
例えば自分が住んでいる地域で近所の方などに挨拶をする。
地域の一員になった気がします。

初めて体験保育に来た求職者へ、挨拶をする。
求職者は、「体験に入っていいんだ」と受け入れられた気がします。

そして、大人が挨拶をしている姿を子ども達が見ることで、
子ども達自身も挨拶ができるようになります。

2.礼節
礼節が保たれている職場は、
「ありがとう」の言葉が多く聞こえ、お互いが敬意を持って接しています。
また悪口などの負の連鎖も、礼節が保たれていると起きづらいものです。

3.人の話を聞く、他者受容
いろいろな人がいる職場では、
まず相手の立場になって話を聞かなければ、真意を理解することは難しいです。
他者受領をし、まずは一旦受け入れる態勢が必要です。

4.自分の意見を言う勇気を持つ。わかるように伝える
自分の意見は言いづらいが、頑張って言わなければ相手に伝わりません。
でも、「言わなきゃ」が強すぎると、強く言ってしまったり、わがままに聞こえてしまったりします。
だからこそ、周りが聞く体制を整えることで、すんなりと意見を言える環境ができます。

とてもシンプルな4つのルールですが、
これを守るだけでも職場は劇的に良いものになります。
元気キッズでは、
この4つのルールは自己達成シートや業務評価の中で大切な基準となっています。
それゆえ、職員たちには常にこれらのルールを意識した行動が求められます。

本当に強力なツールでした。
────────────

ん? なぜか過去形が出てきました。

そうです。
実は最近元気キッズは、もう一つの価値観の導入をはじめました。

それは、

『気づかれない善意で隙間を埋めていく。Give and Giveという考え方』

です。

例えば、
職場が最近とてもきれいに保たれていたとします。
特に本棚はいつだってきれいに整理整頓されていたとします。

「なんだか気持ちいいなぁ」と思いながら2週間くらい経ったある日、
ちょっと早く出社した際、◯◯さんが本棚や棚を整えている様子を見かけます。

◯◯さんは、誰に言われるのではなく、誰に気がついて欲しいわけでなく、
みんなが使うものだから気持ちよく使ってほしいな。
ときれいに整理整頓していました。

その姿を見たら、ほんのりと暖かい気持ちが湧いてくると思います。

『◯◯さんありがとう(心の声)』と、
鬼滅の刃の伊之助が、人に優しくされた時(天ぷらくれた時とか)に
「ほわほわ」するあの感じですw

特に、すぐに気が付く何か、ではなく、
気が付くまでに時間差があることというのがポイントで、
だからこそ「ほわほわ」感がアップするのだと思います。

何かしてもらった時に「ありがとう」と感謝の言葉を伝えるのは、
少しだけGive and Takeな感じがします。
してくれたことに対するお礼です。

しかしGive and Giveだと、見返りを求めずに、ただ良いと思うことをする。
その結果、周りの人が気付くことがあったときに、「ほわほわ」が生まれます。
気づいた人は、自分も周りのために何かしてみようか。という気持ちが生まれます。

この「ほわほわ」こそが、実はこれからの社会にとって大切だと思うのです。

共助の考え方です。

資本主義の社会で、富の不均等はますます助長されています。
そのような中で利己的な人たちは豊かになり、
また、利己的すぎて破滅していくことも見受けられます。

人口減で、国の財政はほぼ借金だけで賄われる今、
国の公的支援だけでは、これからの社会は成り立っていかないでしょう。
そこで、それぞれがお互いを助け合う「共助」が求められます。

元気キッズでは、
次の一歩として、共助の考え方
「見えない善意=Give and Give」を率先して取り入れることで、
少しでも良いと思えることをスモールステップで行い、
善意のループを頻繁に起こしていこうと思うのです。

この見えない善意で満たされた職場って素敵だと思いませんか?

そしてゆくゆくは地域でこの共助の考えが広がっていったら最高です。

それではまた次回をお楽しみに!

 

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保育園元気キッズ 代表 中村敏也

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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.13

参考:メルマガバックナンバー 2021.4.1 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.13 地域社会を変える保育園への道8

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.13 地域社会を変える保育園への道8

「まだまだ足りない社会資源! 医療モデルと社会モデルでみんなに笑顔を」編です。

ふぅ。
「地域社会を変える保育園への道」が
やっと現在取り組みはじめていることを書ける段階にきて
ホッとしている中村です。

前回は、保育と療育の違いや
子ども達に療育施設の外や、どんな場所でも笑顔になってほしい
という活動を書きました。

保育園や療育施設は、基本的には子ども達の発達を促すことを目的としています。
様々な活動を通じて、その子なりの発達を促し、見守る場所です。

創業当時から、子ども達が最高の笑顔になる場所を増やそうと考え、
地域から求められる場所へ施設を増やしていきました。

子ども達にとっても、保護者にとっても
良い環境になっているはずだと信じ、施設を増やしていったのです。

そんな風に活動していく中で、
「ある講演」に参加した時に、
自分には『ある一つの視点』が足りていなかったと気づかされました。

その講演の登壇者は、
自身が新生児仮死で生まれ脳性まひとともに生きてきた、
東京大学准教授の 熊谷 晋一郎 氏でした。

講演の中で熊谷氏は
「障害者と健常者の違いって何でしょうか?」と問いました。

私は
「できないかことが多い?」
「周りと違う?」
「意思とは違う行動をしてしまう?」
などといろいろと考えてみました。

熊谷氏 曰く

「私は小さい頃からリハビリの毎日でした。指なんて思うように動かない。
それを15年位かけてやっとペンを持てるようになりました。

頑張って発達したということは、それはそれでとても良いことだと思う。

本人が頑張って改善していくことを
『医療モデル』といいます。

しかし、とにかく15年毎日リハビリはしんどいのです。
当事者はきついんです。

そこで、例えば持ちやすいペンのデザインを開発し使いやすくしたり、
ロボットアームみたいなものができて、
簡単に意図したことを代替的に行ってくれることがあれば、
非常に楽に生活が送れるようになります。

本人ではなく周りの物や環境が変わることこのことを
『社会モデル』といいます。」

また、このようにも語っています。

「健常者と障害者を分ける基準は、その人がつながる頼れる糸の数です。

健常者の方は、例えばどこかへ行きたい場合、
自分で歩く、走る、車で行く、電車で行く、タクシーを使う、
親に頼んで送ってもらうなど、
たくさんの選択肢(=細い糸)があります。

障害者は、親に頼む、ヘルパーさんに頼む、などの
限られた選択肢(=太い糸)しかない場合が多いのです。

この頼める先をつなぐ糸の数が多ければ多いほど、健常者です。
少なくて太い糸が限られた数しかないほど、障害者です。」

そこで、ハッとしました。

私が保育や療育施設の運営でやっていることは、
『医療モデル』だと。
子ども達に「ちょっとでもできる」になるため頑張れー! と背中を押している。

また一方で、
『社会モデル』として、
子どもがどんな場所でも笑顔になる活動として、毎日通える保育型の療育施設や、
通っている幼稚園、保育園で生活しやすくするサポートの保育所等訪問支援、
障害者のサポート計画を作成する相談支援事業などをやっているのだと。

改めて、
素敵な「気づき」をいただきました。

『医療モデル』も『社会モデル』も両方必要だと思います。

障害を抱える人だけがより健常者へ近づけるよう頑張るのではなく、
周りが変われば簡単に障害度合なんて下がっていきます。

地域社会が、より多様性を受入れ、分断するのではなく地域で共生していくことを、自然と受け入れていく社会になれたら素晴らしいですね。

そんな想いをこめて事業を運営していきます。

今回で「地域社会を変える保育園への道」シリーズは一旦終了です。

次回からは、また保育所の経営ノウハウなどをお伝えしていきます。
引き続き宜しくお願いします。

 

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保育園元気キッズ 代表 中村敏也

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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.12

参考:メルマガバックナンバー 2021.2.25 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.12 地域社会を変える保育園への道7

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.12 地域社会を変える保育園への道7

「療育施設の中だけで笑顔じゃだめじゃん!」 編です

こんにちは。
株式会社SHUHARI 中村敏也です。

前回は、保育型の療育支援のお話でした。
保護者がほっとできることで笑顔になり、保護者が笑顔になるから
子どもたちも笑顔になる好循環を実感した中村青年でした。

立ち上げ当初は保育士中心で立ち上げた児童発達支援事業でした。
しかし、療育の質を向上させるには、
療育経験がしっかりある保育士、
児童への支援が豊富なセラピスト(作業療法士、言語聴覚士、臨床心理士など)
が欠かせません。
そこで、そういった先生方に入職いただき、質の向上をしていきました。

療育の世界に触れると、保育の世界とはちょっと違う景色が見えていきます。

「保育」というのは、未来へ向けての支援というイメージ。
この子は、あんなことできるようになってほしいな。
何々に興味を持つかな?
年長の時には、きっとこう言うことするから、今から環境整えていこうかな?
というような未来を見据えての支援だと思います。

では「療育」は何か。
今その子の状況をしっかりと観察し、
何が好きで、嫌いで、できて、できなくて、得意で、苦手で
と言うところをしっかり評価します。

その上で、
その子にとって今、どんなことができるようになることが大事なのかを目標に掲げ、
そのためにできる具体的な支援を考えていくというのが療育です。

また発達に課題がある児童と、定型発達の子どもたちの発達の違いは、
バケツに例えるとわかりやすいです。

定型発達の子どもたちは、愛情や声がけ、経験を注いでいくと、
時間とともに水が貯まるように発達していきます。
もし、何かが欠けたとしても時間とともに発達するでしょう。

しかしながら発達に課題がある子どもたちは、
バケツにいくつも穴が空いているような状態です。
穴があいたまま、水(愛情、声がけ、経験など)を注いだとしても、
穴から水が漏れてしまい溜まっていきません。
その穴をふさぐのが療育です。
それぞれの穴(課題)を明確にし、そこに栓(具体的な手立て)をすることで、発達を促していきます。

このような違いがあることは、
普通に保育をしていたり、療育だけをしていたとしたら気づきにくいでしょう。

保育所と児童発達支援事業所を運営しているからこそ、
同じ発達の支援でも、役割の違いが明確に感じられていると思います。

さて、療育の質が上がるとともに、
子どもたちの成長もはっきりと感じることができた頃、
発達が整ってきはじめた子どもたちは次のステップに行ってほしい
と思うようになりました。

保育園や、幼稚園へ通うこと。
支援学校ではなく、支援級。
支援級ではなく普通級へ。

そんなふうに保護者の背中を押し始めました。

もちろん、発達が整いはじめ、身辺自立ができており、
給食も一人で食べられたり、席に座って作業に取り組めたり、
先生の指示を理解して行動にうつせたり、
しっかりとヘルプ要求ができたりとする子どもたちにです。

自信を持って送り出したのですが、実際の現場でどうなったかというと…

給食を食べられていた子が食べられなくなったり、
先生の指示を理解して行動にうつせていた子が走り回ったり、
とても落ち着いて行動できて困った時はちゃんとヘルプ要求できていた子が、
手を出して他害をしてしまったということが頻発しました。

どうしてだー!
と泣きたい気持ちになりましたが、
よくよく考えて見ると当たり前だと思いました。

療施設ではわかりやすい構造化ができており、
子どもたちが落ち着き、さらに次に何をするのかわかりやすい掲示があったり、
一人ひとりにとってわかりやすい言葉がけができました。

しかし実際の保育園や幼稚園で同じことをすることは難しい。

一人担任で20人30人の子どもたちがいるクラスで、
発達に課題のある児童にだけ手をかけることは難しい。
加配の先生をつけて対応しようとしても、療育の専門的な知識は持っていないので、
ただそばにいてあげたり、
もしくはやってはいけないことを禁止させることばかりして、
隔離してしまったりしていました。

そこで感じたのは、
療育施設の中だけでの笑顔ではダメだなと、
実際の現場で子どもたちが笑顔にならなければいけない
という思いになりました。

そこで、また新しい事業所を立ち上げました。
保育所等訪問支援と個別療育をする「元気キッズ PSC 」という事業所です。

この施設を利用する子どもたちは、幼稚園や保育園に通ってる子たちがメイン。
PSCでは小集団や個別指導の療育を受けます。

そしてここで療育を受けている子どもたちが、
実際に通園している保育園や幼稚園に療育の指導員が出向き、
その場で療育と学級運営のお手伝いをする事業所です。

当時、「保育所等訪問支援事業」なんて言葉はあまり知られていなかったので、
このような施設が受け入れるまでに時間がかかるだろうなと思っていました。
しかし、開所して3ヶ月で定員一杯になってしまい、
その後も何十人もお待ちいただくような状況が続きました 。

現場で困っている子どもたちがたくさんいるということを痛感しました。

さて、現場で困ってる児童はたくさんいることがわかりましたが、
この先にさらに大きな課題がありました。

それは、実際の幼稚園や保育園、小学校が、
この「保育所等訪問支援」の枠組みをあまりよく知らないという現実です。

利用したいご家庭がたくさんあるのに、私たちの振る舞い一つで、
ご家庭と保育園、幼稚園、小学校との関係が悪くなる可能性だってありました。

そのため、丁寧に丁寧に、順番を間違わないように、
自治体や教育団体にしっかりと根回しをしてから、現場に挨拶をしに行き、
誤解がないように進めました。

そのおかげで大きなトラブルもなく、スムーズに地域に浸透させて行くことができました。

児童発達支援をしていると、
子どもの思い、保護者の思い、地域との連携を非常に強く意識させられます。
そして、まだまだ足りない社会資源を、自分たちで作っていかなければならない
と強く思うようになりました。

次回は、
「まだまだ足りない社会資源! 医療モデルと社会モデルでみんなに笑顔を」編です。

 

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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.11

参考:メルマガバックナンバー 2021.1.21 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.11 地域社会を変える保育園への道6

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


こんにちは。
株式会社SHUHARI 中村敏也です。

随分と日にちが空いてしまいましたが、久々のメルマガ配信です。

「発達支援を考えたきっかけ編」をお話させていただきます。

子どもたちが最高の笑顔になる場所を増やして行くぞーと、
気合たっぷりに施設数を増やしていった中村青年ですが、
施設が増えるごとにあるモヤモヤが増えていきました。

それは、発達に課題がある子どもに出会う数が増えていっていること。

厚労省によると、人口の6.8%に障害を抱えているというデータがあります。
素直に数字を児童に合わせていくと、20人のクラスに1人は、何かしらの障害を抱えている計算になります。
実際の現場では、その数以上に発達に課題感がある子どもたちに出会うという印象があります。
10人に1人程度の実感です。

本来ではあれば、発達に課題がある子どもも保育園で、定形発達の子ども達とともに育つことが大切です。
しかしながら、当時の私たちの本音はというと…

あ、きてしまった。。。

という気持ちにどうしてもなってしまっていたのです。

なぜかというと、
どうして、話を聞いてくれないの?
どうしてみんなと一緒に保育に参加してくれないの?
どうして会話をしてくれないの?
どうして座っていてくれないの?

と、どうしていいか分からないので、とっっっっっっっっても不安でした。

いっぱいいっぱいになった保育園は次にどうするかというと、
こう言ってしまうのです。

「保育園では支援できないから、療育に通ってください!」

と。。。

受容していないご家庭にそんなことを伝えたらどうなるか。

「そんなことない!」と怒られたり、
「うちの子を障害児呼ばわりするな!」と怒られたり、
「ひどい・・・」と怒られたり、、、

色々と怒られます。

怒るということは・・・、つまりは、保護者を思いっきり傷つけてしまっていました。

そんなことを何度も繰り返すうちに、子ども達を笑顔にしたいのに、できない
というモヤモヤというが溜まりに溜まり、
「どげんかせんといかんとです!っ」という想いが湧いてきました。

そして、同じ想いを抱えた職員とともに構想を練り、
平成27年1月にお預かり型の療育施設、児童発達支援元気キッズを立ち上げました。

今、思い返すと、
立ち上げの相談に市役所へ行った時には「本当にできるの?」という冷たい目線や、周りからも「またなんか始めたよ」なんて陰で言われたりしていたようですが、全く気になりませんでした。
「この施設ができればきっと何かが変わる」と確信みたいなものがなぜかあったのです。

周りの冷ややかな目線を受けながらの開所でしたが、
平成26年12月にチラシとホームページへのPPC広告のみでの告知活動をしたところ、大きな大きな反響がありました。

平成27年1月の時点で、1日の定員10名のところ6名程度の稼働が望める状況になり、平成27年4月からは待機児童が出る状況になりました。

経営的にも新しい事業が生まれたことにより基盤ができたということもありますが、もっと良いことの発見があったのです。
この施設を立ち上げて大きく変わったことが2つあります。

●1つは、私たちの気持ちの面。

以前は、課題感のある児童への支援が難しく、
子どもが来るたびに、どうしよう。。。と不安になっていたのですが、
児童発達支援ができたことで「どうぞ来て来て?」と言えるようになったのです!

もう雲泥の差です。
やっと、ちゃんと子どもに向き合える場所ができたことは大きな変化でした。

●そして、もう1つは、保護者。

どこへも行く場所がなかった子どもたちに、毎日通える場所ができたこと。

保育園ではなくて、療育施設なので、「就労要件」はないため、
子どもを預けている間、保護者は何していても良いのです。。
家事をしても、買い物をしても、お友達とランチ会をしても、寝てても良いのです。

課題感を抱えた子どもの保護者は24時間、我が子のことを考え、悩み、
うまくいかない子育てに苛立ち、そして、私の子育てが間違っていたのかな?
と自分を責め立てたりすることもあるでしょう。
きっと心が休まる時ってないのではないかなと思います。

そんな時に、療育の場所が、保育機能を持って、預かりながら療育をすることで、
保護者の相談にも乗りながら、保護者は少し、心と体を休める時間が取れるのです。

子どもの発達にとって大切なことは、
「安心、安全」の保証です。

保育でいうと、養護。
子どもはまず、「ここにいていいんだ。安全なんだ。認めてくれる」という環境があって初めて冒険に出ることができます。

安心安全の基地があることが、自発的な行動を誘発します。
それこそが発達にとって、とても大切なことです。

ただ、発達の基本はどこかというと、やはりご家庭です。

家庭が安心安全の基地になるためには、まず生活が安定しないと難しい。
そこで、保育型の児童発達支援が、保護者のレスパイト(一時休止・休息)になり、肩の力が少し抜けて、笑顔が出てくる。
それは、子どもにとって安心安全な場所になるのです。

このように保護者の顔にも笑顔を見られるようなったのが、大きな大きな変化でした。

12月のチラシを撒いた時に、そのチラシを持って面談にきた保護者から
「ポストにこのチラシが入っていたの見て、サンタさんからのクリスマスプレゼントだと思いました」
と言ってくれたのが忘れられません。
きっと藁にも縋りたい思いだったのでしょう。

本当にこの事業を立ち上げてよかったと思いました。
あの時、決断して本当によかったと思います。

次回は、「療育施設の中だけで笑顔じゃだめじゃん! 編です」

【お知らせ】
時代の流れにのって、元気キッズでYouTubeチャンネルを開設しました。
https://www.youtube.com/channel/UCsFNS2fUxCBLQXAeGKc4sXg

基本的に保護者向けに作成をしていきますが、
いまこのタイミングで情報の発信の手段を持つことがとても大切だと思います。
手探りかつ手作りでやっていきますが、
保育園経営や幼児教育にとって何かのヒントになる情報を発信して参りますので、
ぜひチャンネルの登録をお願いします。

 

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保育園元気キッズ 代表 中村敏也

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メルマガ 中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.10

参考:メルマガバックナンバー 2020.10.01 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.10 地域社会を変える保育園への道5

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


こんにちは。
株式会社SHUHARI 中村敏也です。

前回はかなり勢いよく多店舗運営を始め、勢いづいていた中村青年。
しかし今回は、そういう時にこそ大きな穴があるという、
「経営ってやっぱり人だよ! 理念だよ!」ってお話です。

3施設まで順調に開所を進めていましたが、

実は心のうちに、多くのモヤモヤがありました。

・なんだか雰囲気がよくない
・職員の離職が多い
・3つの施設の仲がよくない!
・代表の僕がいつも先生たちにお伺いを立てている
・自分の立ち上げた施設なのに、自分がやりたいことができない。
・子どもたちが笑顔ではない。。。

このようなモヤモヤが日々募っていきました。

では、どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか?
今ならはっきりとその原因が分かります。

当時の私は、次のような振る舞いをしていました。

1園目、
一生懸命保育に没頭

2園目、
2園目にかかりっきりで、1園目は主任にまかせ半ば放置
そして、1園目から不満の声。
2園目の施設長は外部からなので、1園目と2園目とは文化の共有がない。
お互いが歩み寄らない。

3園目、
人材が育っていないため、自分自身が施設長になり指示。
保育に自信がないために、職員の言われるがままに自由に保育をさせる。

このころになると、各園ごとに好き勝手に保育をするようになり、
それぞれの園で全く違う保育が行われていました。

このままでは収拾がつかないと焦った中村青年は、
当時、一番意見を言って責任感もある人材を引き上げ、全てをまかせて保育内容の統一化を目指していきました。

ガツガツと保育を仕切っていく姿に頼もしさを感じ、
素敵な保育園にしてくださいねと、全ての権限を渡して現場から遠ざかる中村青年。

ふぅ、これで一安心だー!!

……なーんてことにはならなかったのです。

保育内容は統一されつつあるし、服務規定も整ってきて、なんとなく組織っぽくなってきてはいるが、なぜか離職が続出。
保育中に怠慢な態度を見せる職員が続出!!

権力を手にした一人の職員によって、その人に絶対に逆らってはいけない雰囲気ができあがり、
私よりもその職員の意見次第で保育方針が決まっていく異常な状態になってしまいました。

ある日、保育現場を覗くと、
子どもたちが先生の指示通りにきちんと整列し、起立し、挨拶をしていました。
そして、指示にしたがってじっと座っている姿にゾッと寒気さえしたのです。

なぜなら、子どもらしさがどこにも感じられなかったからです。

子どもたちの最高の笑顔が溢れる保育園を目指していたのに、これでは全く真逆な世界ではないかと…

そんなある日、
開園当初から通っていただいたある保護者に言われたひと言で、
目が覚める思いをしました。

「園長先生が創業した園なんだから、先生がやりたい保育をしてください。応援しています」

それはそれはとても優しい口調でした。。

そのころの自分は、毎日悲壮感に溢れ、目も耳も塞ぎ、全く覇気がなかったのだと思います。
そんな姿に、見かねて、声をかけてくれたのだと思います。

保育に自信がないからと、大切な保育方針まで他人まかせの保育をしていた
自分に対して、急に恥ずかしくなりました。

なんと無責任だったんだと。

その日を境に、
保育のことを、幼児教育のこと、赤ちゃんのこと、発達のことを
もっともっと学ばねいけないと、貪るように本を読み込み、
保育や発達のこと、障害のことについての知識を吸収していきました。

またあの分厚い「保育所運営ハンドブック」を全て読み込み、
行政に対してもしっかりとした知識の元、対応できるようにしていきました。

そして、知識、理論を手に入れた中村青年は、
保育現場でも自信を持ってふるまうようになりました。

職員会議では自分で紡いだ言葉で話をし、それが理念となっていき、
職員に伝えていくうちに、少しづつですが
「園長先生についていきます」と言う職員が増えていきました。

その頃から、
4つの約束「挨拶、礼節、話を聞く耳を持つ、自分の意見を言う勇気を持つ」
を伝えはじめました。

分かりやすいルールができると、このルールに共感した先生たちが集まり出したのです。
誰もが意見を言い、お互いを認めあう文化が育ちはじめました。

ようやく長かったトンネルを抜け、変化の兆しが見えてきたのです。

意見が言いやすい空気が流れることによって、
今まで我が物顔で幅を効かせていた職員グループがどんどんやめていき、
反対に心根の優しい、本当に子ども達のための保育をしたいと思う職員が集まってきたのです。

そして、今の元気キッズを支えてくれている職員が揃っていきました。
それはまるで漫画のワンピースのように、一人づつ個性的な仲間が集まる旅のよう。

今思えば、創業から多店舗展開をする中で、超えなければいけない壁だったのだと思います。
もし、ここを乗り越えなかったら、
離職率が高止まりした、保育の質を追求していない、ただ営利目的に保育所を運営している施設に成り下がってしまっているところでした。

話は変わりますが、
保育運営の相談を受ける時に、
「どうしたら離職が少ない、風通しの良い組織ができるのですか?どうやってこの文化ができたのですか?」
と質問をいただくことが少なくありません。

私は、
「文化は移植できません。自分たちなりの文化をつくっていかなければならないです」
と伝えています。

自分がやりたいことをしっかりと言葉で表現して、伝えていけば、自分が理想とする文化ができると。

保育の土台がやっと固まった中村青年。
次はもっと深い支援を模索するのでした。

次回は、「発達支援を考えたきっかけ編」をお届けします。

 

***セミナー結果報告***

先日9月23日に開催した「自園の保育の強みを見いだし、発見するワークショップ」
10数名の先生方にご参加いただきました。
貴重なお時間をいただき誠にありがとうございます。

アンケートでは、ほぼ全ての方に、
知り合いにすすめたいと言ってていただけ、大変励みになりました。

「中村さんのお話が、分かりやすかった。自園でこれからやっていきたいこと、やりたくないことを確認する機会がもらえた。いろいろな方のお話を聞けた」

「自園の強みを知るきっかけになった事と、現在やらないといけない事が知れました。すべて解決できたわけではないですが、考えるきっかけになったと思います。それを他の園でも、きっかけになるかと思いますので、お勧めしたいと思いました」

「様々な経験をされ、前向きに頑張っておられる中村先生のお話を聞くことで、私自身、勇気をいただきましたし、これからどのように今を乗り越えていけばよいのか、ヒントをいただけました」

「保育の知識・技術に関する研修は多いが、経営者目線からのセミナーはとても貴重だと考えます」

「考える機会になり良かったです」

「自園の強みについて再度確認し、気づきがありました。もっと多くの園の方と意見交換ができたらいいと思いました」

「もっと深いところまで話を聞きたくなりました」

など、たくさんのご意見をいただけました。

今後もこの様な小規模でのセミナーを開催していきますので、
またご参加いただければと思います。本当にありがとうございました。

 

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株式会社SHUHARI
保育園元気キッズ 代表 中村敏也

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中村 敏也

Nakamura Toshiya
埼玉県内に、保育園、児童発達支援施設、保育所等訪問支援事業所、病児保育室、放課後児童クラブ、相談支援事業所を運営。子どもが笑顔で過ごせる保育園にするためには、職員が楽しめる職場であることが重要。職員が意見を言いやすい職場の雰囲気作りや福利厚生面など、働きやすさも重視した環境作りに力をいれている。
株式会社SHUHARI代表取締役
株式会社sopo代表取締役
新座市子ども子育て会議委員
中村敏也