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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.41「大変革がどうしてできたのか」

参考:メルマガバックナンバー 2024.10.17 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.41「大変革がどうしてできたのか」

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.41
一斉保育から子ども主体の保育へ、大変革がどうしてできたのか

こんにちは。
株式会社SHUHARI 中村敏也です。

ありがたいことに、大変多くの方に、私たち元気キッズの保育と療育にご興味を持っていただき、現在、ほぼ毎週のように視察を受け入れています。
たくさんの方が視察にお越しになるので、
現場が疲弊してしまわないかと心配になり、職員に聞いてみたところ
「自分たちが信念を持って作り上げている保育環境のことを、多くのみなさまにお話しできるのが嬉しいです」
と大変前向きな返答をもらい、なんて頼りになる仲間たちなんだと、誇らしい気持ちでいっぱいになりました。ありがたいです。

元気キッズに視察にいらっしゃる方たちの主な目的はというと
「保育と療育の連携」なのですが、
保育園・幼稚園関係の方たちは、必ずと言って良いほど、最初に
元気キッズの『コーナー保育の環境』と『子ども主体の保育』に興味津々になります。
例えば、乳児担当制、サークルタイム、探求学習へのアプローチなど。

熱心な先生ほど、職員の説明を食い入るような目をして聞き、鋭い質問が飛びだします。
ここではいつも時間オーバーになります。
毎回、なんて豊かな時間なのだろうと思います。
こんなふうに『子どもの真ん中』をみんなで考えていけたら最高だなといつも思います。

このように保育環境を褒められるようになった元気キッズですが、初めから子どもが主体の環境や保育内容を行ってきたわけではありません。
いわゆる「一斉保育」の形で創業より運営していました。

おもちゃを先生が選び、部屋の真ん中にどかーっと置いて、「さあ、このおもちゃで遊びなさいな」とか、朝の会で全員横一列に整列して、点呼して「はい!」と大きな返事を期待する。何か活動を始める前に横一列に並んで壁ぺったんをする。まるで囚人のように。。。
こんなことを平気で行っていました。

今考えると、なんて無知で何も考えずにそれまでの慣習で保育をしていたのだろうと思います。
思いだけは立派で、中身が伴っていませんでした。
恥ずかしい限りです。
しかし職員たちはとても一生懸命に子どものことを考え、先生たちが知る知識の中で大切だと思えることをやり切っていました。
そこに足りなかったのは、
私の知識と経験値、そして、常識と言われるものに対抗する覚悟でした。

…20年前の保育の実態は、きっとほとんどの保育所が同じような感じだったと思います。

元気キッズでは、少しづつ「子ども主体とは何か」考え、職員みんなで工夫をして保育を改善していきましたが、それでも一斉保育からはなかなか脱却ができませんでした。

時代は流れ
いよいよ2015年の「OECD教育2030」にて、VUCA※の時代がくる。不確実性の高い世の中に突入するぞ。と発表されました。
(※VUCAの時代=Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語)

どこの団体にも所属していない私は、情報源が限られていて、その頃はOECDのいうことが絶対でした。
そして、
2018年の頃に
いま変わらねば子どもの未来に責任を持てなくなる
と、心が震え出し、
いま変わるんだ
と、保育を変える決断をしました。
元気キッズはトップダウンなことはあまりしないのですが、この時ばかりは、不退転の覚悟で職員に伝えました。
2018年12月だったと思います。

まず行ったのは、
職員、保護者への説明。
YouTubeを使いオンライン講座を数回実施し、アーカイブをYouTubeで限定公開。
職員むけには、リーダ以上を集めたミーティングで、未来から逆算した思考法(フューチャーマッピング)を使い、3年後の姿から今を導き出し、何をすべきかを明確化。
環境構成の基本的な考え、自由保育への足がかりで試す一年が始まりました。

2019年は本当に模索の一年でした。
何をしていいかわからず、とにかく本を読んだり、実践したりしました。
ただ、これは、本だけではダメだとすぐに気が付き、試行錯誤しているうちに、
ある職員から「ピラミーデメソッド(ピラミッドメソッド)」の提案がありました。
ピラミーデメソッドは以前より文献などは拝読・精読していて、とてもすてきな保育だと知っていたので、すぐに講師の勝山先生をお招きして改革へ。
3日間の研修を年に数回行い、職員たちも必死についてきてくれました。

私自身も、YouTubeで講座を作り、ピラミーデとは、乳児保育とは、環境構成とは、ドキュメンテーションとは、などをライブ配信し収録。
職員は代表が本気なんだと感じとってくれたと思います。

YouTubeアーカイブ

たくさんの時間と労力をかけました。
職員のみんなは本当によく頑張ってくれました。
保護者のみなさまも不安の中、ついてきてくれました。

そんなことを1年、2年と続けていった結果、
職員たちの顔が変わりはじめました。
最初の頃は遊んでいるだけでいいのか?と不安な顔があった先生たちも、子どもたちが黙々と楽しそうに遊び込む姿を目にし、また、先生の声がほとんど聞こえない静かな保育室で、子どもたちの静かな話し声が聞こえる穏やかで心地よい空気を実感しはじめました。
遊び込むための「おもちゃの質と量」と「時間の大切さ」を肌身に感じとり、
遊びに集中できる子どもたちと、発達課題がある子どもたちが、ともに遊び込めるよう、遊び込めない時がないよう、しっかりとフォローできる余裕もできました。

このような環境が作りあげられていく過程は、本当に感動の連続でした。

3年後に職員から、とても嬉しい言葉をもらいました。
「代表が3年後の未来を考える機会をくださったおかげで、今の環境ができました。あの時、行動変容して大変だったけれど、変化の手応えを感じながら過ごした時間がとても心地よかったです。」
 

私が行ったことは、

  • ビジョンを共有し、何が必要かを主要メンバーで考える時間を作ること。
  • 代表自ら、勉強し、伝えていくこと。
  • 研修の機会、時間をしっかりとること。
  • 保護者を疎かにしないで、しっかり意図を伝えていくこと。
  • なぜイベントが少なくなるのか?なぜ一斉保育をしないのか?小学校で大丈夫なのかを丁寧に伝えていくこと。
  • 環境構成への費用は惜しまず、積極的に使うこと。
  • 質の良いおもちゃをたくさん用意すること。

保守的な保育業界ですが、変わろうと思えば変えられます。
理事長先生、代表の先生の決意と、職員の熱意があれば変えられます!

ぜひ、子どもたちのために、保育の質を高めて行きましょう!!

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株式会社SHUHARI
元気キッズグループ 代表 中村敏也

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子どもたち、保護者、保育士にとって、とても幸せな世界になることを願って、少しでもお力になれれば幸いです。

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中村 敏也

Nakamura Toshiya
埼玉県内に、保育園、児童発達支援施設、保育所等訪問支援事業所、病児保育室、放課後児童クラブ、放課後等デイサービス、相談支援事業所を運営。子どもが笑顔で過ごせる保育園にするためには、職員が楽しめる職場であることが重要。職員が意見を言いやすい職場の雰囲気作りや福利厚生面など、働きやすさも重視した環境作りに力をいれている。
株式会社SHUHARI代表取締役
新座市子ども子育て会議委員
中村敏也