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メルマガ 中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.10

参考:メルマガバックナンバー 2020.10.01 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.10 地域社会を変える保育園への道5

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


こんにちは。
株式会社SHUHARI 中村敏也です。

前回はかなり勢いよく多店舗運営を始め、勢いづいていた中村青年。
しかし今回は、そういう時にこそ大きな穴があるという、
「経営ってやっぱり人だよ! 理念だよ!」ってお話です。

3施設まで順調に開所を進めていましたが、

実は心のうちに、多くのモヤモヤがありました。

・なんだか雰囲気がよくない
・職員の離職が多い
・3つの施設の仲がよくない!
・代表の僕がいつも先生たちにお伺いを立てている
・自分の立ち上げた施設なのに、自分がやりたいことができない。
・子どもたちが笑顔ではない。。。

このようなモヤモヤが日々募っていきました。

では、どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか?
今ならはっきりとその原因が分かります。

当時の私は、次のような振る舞いをしていました。

1園目、
一生懸命保育に没頭

2園目、
2園目にかかりっきりで、1園目は主任にまかせ半ば放置
そして、1園目から不満の声。
2園目の施設長は外部からなので、1園目と2園目とは文化の共有がない。
お互いが歩み寄らない。

3園目、
人材が育っていないため、自分自身が施設長になり指示。
保育に自信がないために、職員の言われるがままに自由に保育をさせる。

このころになると、各園ごとに好き勝手に保育をするようになり、
それぞれの園で全く違う保育が行われていました。

このままでは収拾がつかないと焦った中村青年は、
当時、一番意見を言って責任感もある人材を引き上げ、全てをまかせて保育内容の統一化を目指していきました。

ガツガツと保育を仕切っていく姿に頼もしさを感じ、
素敵な保育園にしてくださいねと、全ての権限を渡して現場から遠ざかる中村青年。

ふぅ、これで一安心だー!!

……なーんてことにはならなかったのです。

保育内容は統一されつつあるし、服務規定も整ってきて、なんとなく組織っぽくなってきてはいるが、なぜか離職が続出。
保育中に怠慢な態度を見せる職員が続出!!

権力を手にした一人の職員によって、その人に絶対に逆らってはいけない雰囲気ができあがり、
私よりもその職員の意見次第で保育方針が決まっていく異常な状態になってしまいました。

ある日、保育現場を覗くと、
子どもたちが先生の指示通りにきちんと整列し、起立し、挨拶をしていました。
そして、指示にしたがってじっと座っている姿にゾッと寒気さえしたのです。

なぜなら、子どもらしさがどこにも感じられなかったからです。

子どもたちの最高の笑顔が溢れる保育園を目指していたのに、これでは全く真逆な世界ではないかと…

そんなある日、
開園当初から通っていただいたある保護者に言われたひと言で、
目が覚める思いをしました。

「園長先生が創業した園なんだから、先生がやりたい保育をしてください。応援しています」

それはそれはとても優しい口調でした。。

そのころの自分は、毎日悲壮感に溢れ、目も耳も塞ぎ、全く覇気がなかったのだと思います。
そんな姿に、見かねて、声をかけてくれたのだと思います。

保育に自信がないからと、大切な保育方針まで他人まかせの保育をしていた
自分に対して、急に恥ずかしくなりました。

なんと無責任だったんだと。

その日を境に、
保育のことを、幼児教育のこと、赤ちゃんのこと、発達のことを
もっともっと学ばねいけないと、貪るように本を読み込み、
保育や発達のこと、障害のことについての知識を吸収していきました。

またあの分厚い「保育所運営ハンドブック」を全て読み込み、
行政に対してもしっかりとした知識の元、対応できるようにしていきました。

そして、知識、理論を手に入れた中村青年は、
保育現場でも自信を持ってふるまうようになりました。

職員会議では自分で紡いだ言葉で話をし、それが理念となっていき、
職員に伝えていくうちに、少しづつですが
「園長先生についていきます」と言う職員が増えていきました。

その頃から、
4つの約束「挨拶、礼節、話を聞く耳を持つ、自分の意見を言う勇気を持つ」
を伝えはじめました。

分かりやすいルールができると、このルールに共感した先生たちが集まり出したのです。
誰もが意見を言い、お互いを認めあう文化が育ちはじめました。

ようやく長かったトンネルを抜け、変化の兆しが見えてきたのです。

意見が言いやすい空気が流れることによって、
今まで我が物顔で幅を効かせていた職員グループがどんどんやめていき、
反対に心根の優しい、本当に子ども達のための保育をしたいと思う職員が集まってきたのです。

そして、今の元気キッズを支えてくれている職員が揃っていきました。
それはまるで漫画のワンピースのように、一人づつ個性的な仲間が集まる旅のよう。

今思えば、創業から多店舗展開をする中で、超えなければいけない壁だったのだと思います。
もし、ここを乗り越えなかったら、
離職率が高止まりした、保育の質を追求していない、ただ営利目的に保育所を運営している施設に成り下がってしまっているところでした。

話は変わりますが、
保育運営の相談を受ける時に、
「どうしたら離職が少ない、風通しの良い組織ができるのですか?どうやってこの文化ができたのですか?」
と質問をいただくことが少なくありません。

私は、
「文化は移植できません。自分たちなりの文化をつくっていかなければならないです」
と伝えています。

自分がやりたいことをしっかりと言葉で表現して、伝えていけば、自分が理想とする文化ができると。

保育の土台がやっと固まった中村青年。
次はもっと深い支援を模索するのでした。

次回は、「発達支援を考えたきっかけ編」をお届けします。

 

***セミナー結果報告***

先日9月23日に開催した「自園の保育の強みを見いだし、発見するワークショップ」
10数名の先生方にご参加いただきました。
貴重なお時間をいただき誠にありがとうございます。

アンケートでは、ほぼ全ての方に、
知り合いにすすめたいと言ってていただけ、大変励みになりました。

「中村さんのお話が、分かりやすかった。自園でこれからやっていきたいこと、やりたくないことを確認する機会がもらえた。いろいろな方のお話を聞けた」

「自園の強みを知るきっかけになった事と、現在やらないといけない事が知れました。すべて解決できたわけではないですが、考えるきっかけになったと思います。それを他の園でも、きっかけになるかと思いますので、お勧めしたいと思いました」

「様々な経験をされ、前向きに頑張っておられる中村先生のお話を聞くことで、私自身、勇気をいただきましたし、これからどのように今を乗り越えていけばよいのか、ヒントをいただけました」

「保育の知識・技術に関する研修は多いが、経営者目線からのセミナーはとても貴重だと考えます」

「考える機会になり良かったです」

「自園の強みについて再度確認し、気づきがありました。もっと多くの園の方と意見交換ができたらいいと思いました」

「もっと深いところまで話を聞きたくなりました」

など、たくさんのご意見をいただけました。

今後もこの様な小規模でのセミナーを開催していきますので、
またご参加いただければと思います。本当にありがとうございました。

 

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株式会社SHUHARI
保育園元気キッズ 代表 中村敏也

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中村 敏也

Nakamura Toshiya
埼玉県内に、保育園、児童発達支援施設、保育所等訪問支援事業所、病児保育室、放課後児童クラブ、相談支援事業所を運営。子どもが笑顔で過ごせる保育園にするためには、職員が楽しめる職場であることが重要。職員が意見を言いやすい職場の雰囲気作りや福利厚生面など、働きやすさも重視した環境作りに力をいれている。
株式会社SHUHARI代表取締役
株式会社sopo代表取締役
新座市子ども子育て会議委員
中村敏也