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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.29「好奇心格差が広がり続ける世界と日本に思いを馳せてみた」

参考:メルマガバックナンバー 2022.7.7 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.29「好奇心格差が広がり続ける世界と日本に思いを馳せてみた」

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.29
「好奇心格差が広がり続ける世界と日本に思いを馳せてみた」

「子どもは40000回質問をする」
イアン・レズリー (著), 須川綾子 (翻訳) を読み、
好奇心格差が経済格差を生んでいると現代社会に思いを馳せてみました。

最近、世の中の雰囲気が急速に悪くなってきている。
ロシア・ウクライナ危機を発端とする、資源問題や食料問題。
急激な円安で、輸入品の価格高騰。

アメリカのインフレ率が8.6%とすごく高いが、賃金も同様に上がっている。
日本では、賃金が上がらずに食料品や燃料、電気代などのインフラの値上げがすさまじい。

先日、スーパーマーケットで4つパックのヨーグルトを買おうとしたら、どのメーカーも一律190円だった。2ヶ月前だったら、130円くらいで特売品が売っていたのに、体感的に46%の値上げだ。
小学校の給食が1日200円だったのが、20円値上げと10%アップを言われた。
電気代は概ね30%アップ。
どこもかしこも値上げラッシュ。

では経済としてはどうなのか?
世界各国でインフレが起きている。
顕著なのはアメリカだが、物価が上がり賃金も増えている。
シリコンバレーの初任給が1000万円をこえるなんて言うのは聞いて久しいが、
生産性が高いからこそ賃金に反映できるのだ。

いまだにDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まず、
生産性が低いままの日本では、もちろん賃金があがらない。

余談だが、この前、DXのための補助金「ものづくり補助金 (通称:もの補助)」を申請したら、ネットでできるのだが、中身は写真を貼ったり、その写真に決められたフォーマットのテプラを貼ったりしなければならず、窓口以外は全てがアナログ作業。
あまりにも現実離れしていて、なんと皮肉な世界だと笑ってしまいました。
生産性の概念がどこにもない。
処理仕事のための処理仕事的な。
まさにブルシット・ジョブだ!!

そんな中で冒頭の本を読み、
日本社会にはびこる停滞感と、
アメリカやアジア、中国などの躍進感は、
まさに好奇心格差なのではないかと感じたのです。
 

本の話を少ししてみようと思います。

『子どもは2歳から5歳の間に4万回説明を求める質問をする。』
『そして新しい知識が身につくと、その周辺へも興味がいき、さらに質問をする。』
知らないことを知るからさらに興味が出るのだ!

『好奇心は、「知っていること」と「知っていること」の合間に空白があると、さらに湧き出てくる「学習領域の最近接領域」と言える』

これは子供だけでなく、私のようなおじさんでも同じで、
知りすぎていることに、大きな魅力は感じないし、
そもそも知識がないものに興味はわきづらい。

車好きの友人と話しても、車の構造をあまり知らない自分は、好奇心が刺激されないので、すぐに会話が終わってしまう。
一方、私は昔、ワインの仕事をしていたので、ある程度のワインの知識と経験があるため、ワイン好きの方と話をしたり、詳しい人に出会うとどんどん質問をして、新しい産地のことや、最近のワイン事情が聞けると楽しい。

 

「拡散的好奇心」を整える知識と質問力

「好奇心」と言っても闇雲の手当たり次第に手を出していくのではなく、
「自分は何を知りたいのか」と、
しっかりと質問できる力が必要だ。

Googleがより便利になってきた昨今、
知識は蓄えるものでなく、「情報にアクセスする技術」が必要になるだけで、だから暗記はいらないという雰囲気を感じる。

実は自分も暗記はいらないし、詰め込み教育には反対!
と思っていたし、
今は Googleに質問(検索)したら、
ほとんど何かしらの回答がもらえるから大丈夫
って、あんまり考えることなく思っていた。

でも、Googleが伝えてくる情報は、比較検証されていない情報である。
もちろん提示された情報を鵜呑みにすることなく、さらに質問を続ければより洗練されていくが、果たして、そこまで考えて使用している人はどのくらいいるのでしょうか?

自分の脳のエネルギーを全く使わずに得た知識は、ものになるのでしょうか?
きっとスルスルと落ちていき、知識にならず、ただその場だけの情報になるのではないでしょうか?

100点からの減点方式の日本の教育の弊害が、
このGoogle頼みの、
簡単に正解を見つけることで満足してしまう大人
を産み続けているのでないか?

amazonを開くと、「あなたにおすすめの書籍はこちら」と、今までの購入履歴から推測された本が提示される。
Spotifyを開けば、「本日のおすすめはこちら」と提案してくる。
世の中便利になるのはいいが、どうも思考するエネルギーが奪われ、消費するエネルギーに無理やり変更させられている気がする。

 
このように
情報が溢れ、
いつでも必要な情報が取り出せて、
いろいろ提案までいただける現代社会は、
個人の情報のみならず、知的エネルギーまでもを吸い取られている気がしてしょうがない。

そして、その吸い取っている相手はGAFAMなどの世界の巨大企業。
この文章も、MacBookでGoogle docにアクセスして書いている。
それをFacebookで告知するのだろう。。
なんという皮肉。

では、吸い取られないためには、どうすればいいのかと言うと、
能動的に知識を喰らいにいき、
自分の頭で考える時間をもち、
人と対話すること
なのかなと思う。

一概に詰め込み教育が悪い訳ではない。
まず、基本的な知識(一般教養)を蓄え、
そこから興味があることの周辺を調べ、
それを有機的に結合していくことが必要なのです!

 

幼児教育の中で必要なこと

賃金上昇のないインフレという、まさに閉塞感がはびこり始めた日本の中で、今を生きる我々の責任は、これからの世界をを作る子ども達に、この搾取される世界をサバイブする力を与えることである。
 

「探求学習」
「人と対話すること」
「デジタルネイティブな子ども達へのデバイスを使ったプログラム」
*先日参加させていただいたスウェーデン講師の研修でも、率先してデジタルデバイスを活用されていてびっくりしました。

そして、その根底にあるのが、
安心して過ごせる場所、自分を出せる場所を作ることです。

この本の中でも、
『不安を感じている子ども達は、身体的にも精神的にも情報収集のための検索を行わない傾向が高くなる』と書いてあります。

子どもが初めて行った児童館で、なかなか親から離れられないのは、
不安だから。
でもしばらくして、親が近くにいて「大丈夫だよ」というシグナルを送ってくれていて、「ここは安心できる場所だ」と感じることができた子どもは、親から離れて探索をはじめる。

好奇心は「愛」によって支えられているのです。

親や、保育者たちが、子ども達の環境を、愛情で満たし、
自然と好奇心が刺激されるような場所にしていくことがとても大切です。

そして、そのためには、
我々大人が、常に好奇心を持って、新しい知識を蓄え、
実行していくことが大切です。

子ども達のためにと思って行動した結果が、
今の閉塞感をぶち破るきっかけになるかもしれません。

 
 

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株式会社SHUHARI
元気キッズグループ 代表 中村敏也

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中村 敏也

Nakamura Toshiya
埼玉県内に、保育園、児童発達支援施設、保育所等訪問支援事業所、病児保育室、放課後児童クラブ、相談支援事業所を運営。子どもが笑顔で過ごせる保育園にするためには、職員が楽しめる職場であることが重要。職員が意見を言いやすい職場の雰囲気作りや福利厚生面など、働きやすさも重視した環境作りに力をいれている。
株式会社SHUHARI代表取締役
株式会社sopo代表取締役
新座市子ども子育て会議委員
中村敏也