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中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.25

参考:メルマガバックナンバー 2022.2.17 配信

中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.25「第6波と保育について」

 


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密


中村敏也の元気キッズ保育園の秘密 vol.25
「第6波と保育について」

保育事業者としての心の声を聞いてください。
*今回の内容は、多分に心情が反映されており、不愉快な想いをされる方がいるかもしれませんが、あえて保育事業を運営している私たちの生の声を届けたく、荒々しい内容となっております。
 

令和3年12月に新たな波、オミクロンがやってきた。
感染力が今までの10倍みたいなことを聞いていたのに、ファクターXがあるかもしれない日本人は、きっと今まで通りに対策をしていれば平気なんじゃなーいなんて呑気に構えていた。

雰囲気が変わったのは、年が明けてから。
感染者の増加数に、今までと性質が全く違うことに驚いた。

今までと何かが違うと感じ、
年明け早々に、
「この波は今までとは性質が大きく異なるから、きっとすごい数の感染者数になるぞっ」と職員達に伝えた。

この時は、
「心構えがあればどうにかなるさ」という予防線をはった感じでいた。
本当は、今までと何がどう違うか分かっていなかったのだが、騒いでみただけだった。
日を重ねるごとに、感染者数が過去に経験がないペースで増えていく中、感染対策を徹底しよう!なんて、いつも通りの声がけをしていた。
 

そのうち職員から緊急連絡が入りだした。

  • 主人が陽性で濃厚接触者になったため出勤できません!
  • 息子の小学校でクラスターが起きて、学級閉鎖になり出勤できません!!
  • 子どもの通う幼稚園が閉園になって出勤できません!!!
  • 子どもが陽性になって、家庭内感染の可能性があるので出勤できません!!!!

みんな申し訳なさそうに、
あたかも責任が自分たちにあるみたいに話し、
泣き出す職員もいた。
 

そして2月初めにはあっという間に保育園に「働ける職員」がいなくなった。
 

国の通達では、保育士の配置基準を満たさなくても運営可能だというので、
少ない職員で運営をしたとして違法ではない。
 

ー そんなことしていいのか?と自問する。
 

ある政治家は、濃厚接触の定義をすぐに変えて、
保育園を止めるな!みんなが働けなくなるだろーって叫ぶ。
 

ー 我々保育の現場の職員のことをどう思っているんだって憤る。
 

保育園を閉めると働けなくなる家庭がでて、困るのは十分承知です。

ですが、
今まで
少ない人数で保育することって、あれほどダメじゃんって言ってたじゃん。
配置基準を満たさない保育所は監査の項目で公表するって脅してきてたじゃん。。

濃厚接触の定義を変えてすぐに保育士を現場にもどせって言うけれど、
保育士だって感染リスクど真ん中で、心をすり減らして頑張っているんですけど!!!
 

肌あれがひどい保育士が、ウレタンマスクをした上に不織布マスクをしていたら、保護者からクレームが入った。
命を守るものが、適切なマスクの仕方もしないで、そんなんで命を守れるのか!って。
看護師資格のある市役所職員からマスクは適切に使用してくださいと指導が入る。

えっと、保育中、ずっとマスクを隙間なく顔につけていることなんて、ほぼ不可能ですけど、それを真顔で言うのですか?
 

もちろん、
感染対策は行いますが、
医療従事者とは、衛生環境も、体制も、もらっている手当も、何もかも違うのに同列にしないでよ!
 

今まで押し殺していた感情がぽろぽろと零れ落ちてきて、涙がでてきた。
 

保育士に人権はないんですか?
仕事としての誇りを持たせてくれないんですか?

尊厳を奪わないでください!!お願いします!!!
 
 

先日、2歳児にマスクを奨励するって報道がありました。。

非現実的すぎる。

マスクをしながら日中支援で動き回る職員からマスク着用の現状が届く。

片頭痛がひどくなりました。
肌荒れがひどくて大変です。
子どもたちにマスクを外した自分の顔を覚えてもらえてないのがつらいなど。
 

こんな身体的、精神的負担を乳幼児にも与えるのですか?
 

乳児は、口の形で言葉を覚えたり、感情を理解し、発達し成長していくもの。
その経験をしないで育った乳児たちのこれからを想像すると恐ろしくなります。

マスクをする大人に囲まれ、息苦しいマスクをさせられる子ども達。
子どもが当たり前にもっている、豊かに発達する権利はどこにいったのだろうか?

フランス政府は、子どもたちが育つ環境に配慮しながら、表情が見える透明素材でできたマスクを保育・教育現場に「一斉配布」したと聞いたが、日本政府は、大人目線でのみ施策を考えているように見える。

政治家の皆様、一度、1日保育に入ってみてから発言してほしい。
いや、周りの方、秘書さんでもいいので体験して、ぜひ実状を報告してください。
 

最近、とても怖いと思っていることがあります。

京都大学大学院教育学研究科
教授 明和 政子先生による
教育シンポジウム「コロナ禍でのヒトの育ち」
の中で指摘がされていましたが、

乳児の発達段階の中の感受性期(生後2ヶ月から未就学児の頃)は、環境により神経ネットワークが大きく変化する。
特に視覚野は、生後8ヶ月ごろから表情認知ネットワークが経験により顕著に変化する。
大きな表情の動きなどを目で見て、もの真似をして、他者の感情を理解していく過程が、感受性を育む。
マスクによって、表情を隠された状況では、相手の気持ちを理解する力、Empathyが育まれにくいのです。
 

保育の現場で起きていることに違和感があります。

初めて訪れた乳児が、簡単に親から離れ職員に抱っこされている姿。

これは職員のあたたかさから、すぐに慣れているわけではない。

乳児は、大人たちがマスクをしているから、だれがだれだか認識ができていないから、簡単にだっこを許すのです。

これってすごく怖いことです。
大切なアタッチメント形成の時期に、表情の変化による認識能力が欠けてしまう子ども達は、どんな育ち方をしていくのでしょうか?
 
 

私たち保育に関わるものは、
それでも保育をあきらめることなく全力で保育をします。
 

どうか、社会が、子どもの発達のこと、子どもの権利のこと、子育てしにくい環境の中で頑張っている保護者のこと、現場を支えている保育者のことをもっと理解してもらえるようになることを切に願っております。
 
 

最後に、
このような内容をメルマガで配信することは意味がないかもしれませんが、
メルマガ読者の方々に知っていただいただけでも、少し救われる気がしております。

そして、私自身、このような声を、
行政側にどんどん発信していかなければならないと思っています。

コロナ禍で、みんながみんな、
それぞれの場所で、それぞれの立場で必死に踏ん張っています。

行政の方だって、保育園だって、サービス業の方だって、みんな必死です。
そんな中で、自分の業界のことを分かってくれよって、受け身でいては、
大切な事が伝わらないと思います。

ぜひ、理不尽さを抱える保育者の皆様、また、同業の皆様、その他の業界の皆様も、現状に理不尽さや問題があれば声をあげていきましょう!
 
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株式会社SHUHARI
保育園元気キッズ 代表 中村敏也

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中村 敏也

Nakamura Toshiya
埼玉県内に、保育園、児童発達支援施設、保育所等訪問支援事業所、病児保育室、放課後児童クラブ、相談支援事業所を運営。子どもが笑顔で過ごせる保育園にするためには、職員が楽しめる職場であることが重要。職員が意見を言いやすい職場の雰囲気作りや福利厚生面など、働きやすさも重視した環境作りに力をいれている。
株式会社SHUHARI代表取締役
株式会社sopo代表取締役
新座市子ども子育て会議委員
中村敏也