中村敏也 ブログ コラム 保育 療育 児童発達支援

ピラミーデメソッドの保育のカタチ

前回、真の子ども主体の保育の実現のためにピラミーデを導入するとお伝えしました。

具体的にピラミーデ保育とはどのような保育なのかを説明する前に、私が何を大切にして保育園を運営しているかをお伝えします。

 

「遊び」こそがこれからの時代に必要な生きる力を育みます

この大きな変化の時代、不確実性な荒波の中を、子ども達は生きて行かなければなりません。
そのような時に頼りになる力はとはどのような力でしょうか?
きっと保護者の皆様も、IQのような知力やテストの結果で判断される学力が唯一の力とはお考えにならないでしょう。

マルチプルインテリジェンス(MI理論)いう言葉をご存知でしょうか?

1983年、ハーバード大学教育大学院認知心理学教授、ハワード・ガードナーがMultiple Intelligences Theory (MI理論)を発表、従来の知能という概念を大きく前進させました。

彼の理論によると全ての人間には

①言語的知能
②論理・数学的知能
③空間的知能
④音楽的知能
⑤身体運動的知能
⑥対人的知能
⑦内省的知能
⑧博物的知能

という8つの知能が備わっていると明言しています。

海外ではこの広義の知能が認知され、既に教育の世界にも導入されていると言えます。
日本では、いまだに知力とは①言語的知能や②論理・数学的知能を指していることが多いと思います。
しかし、実際に生きていく上で必要な知識は、空間的知能だったり音楽的知能だったりと多岐に渡ります。
このような知能をバランスよく育むことが、これからの不確実な世界でよりよく生きるために必要なことなんだと私は考えます。

話しが長くなりましたが、言いたいことは、我々保育者としては、どうしたらこのような知性が育まれるのかということです。

そのカギが「遊び」なのです。

子供たちは、遊びに夢中になっている時、物凄い集中力を発揮します。

お友達同士で遊ぶ時、独自のルールが出来上がります。そこで、個々の力に差がある場合は、誰もが楽しめるようなルールを勝手に作っていきます。
遊びこそが、自分が知りたいことを主体的に探究し、創造性を刺激し、また対人コミュニケーション能力を発達させます。

まさにこれからの社会に必要な、「創造性」「主体的に考え行動できる力」「人に共感し、協力しながらやり遂げる力」などが遊びを通じて育まれます。

そうすると、私たち保育者が、保育の現場でやらなければならないことは、子供達への「遊びの保証」です。
継続的に遊びができる環境が必要不可欠です。

 

「環境設定」を整える

子ども達が十分に遊べるため、まずやらなければならないことが、保育環境を整えることです。

そのためには次のサンマ(3つ間)が大切です。

【人間】
保育室の中で子どもとの関係。
保育者はあくまで誘導する立場。
子ども達が主体的に遊びを選択できるように誘導する。

【空間】
視覚化=子どもの視点から見て、誰でも見てわかるような環境「量」と「質」にこだわったおもちゃ。
質が良くても数が少なければ十分に遊びが発展していきません。良質なものを十分な量を用意することが大切です。
コーナー保育「積木」「おままごと」「製作」「絵本」「レゴ」など、それぞれのコーナーで子ども達が集中して遊べるコーナーを用意する。
「動」と「静」の2つのタイプに分かれ、それぞれの環境を阻害しない配慮は大事。

【時間】
たっぷりと遊ぶ時間を保証する
乳児期にはそれぞれのリズムに合わせた活動を行う。

 

一斉保育ではなく、子どもが自分で活動を選ぶ自由保育

子どもが主体的に活動することがもっとも大切なことであるとすると、今まで日本で主流であった一斉保育だと保育設計に無理ができます。
皆が同じことをするとなると。どうしても先生が主導する保育になってしまい、子どもが主体的に選んで活動することができなくなります。
子ども達は、自分が選んで決めたことは、しっかりと集中してやります。
私たち大人でも。人に指示されてやることほど、乗り気にならないことはありませんよね。
ただし、まだまだ幼い子ども達、自分だけで決めることがむずかし場合があります。
そんな時に、保育士は、そっと手助けをし、遊びを誘導することが大事です。

 

プロジェクト型保育

自由保育と言っても、ただ自由に遊ばせるということではありません。
月ごとや季節ごとにテーマを設定し、子ども達に学んで欲しい、触れて欲しいことを保育者は準備をします。
例えば、12月であれば、秋から冬に切り替わる時期。この季節の移り変わりをテーマにした場合は、1週目に興味が出そうな絵本や、写真などを子ども達の目に触れるようにしたり、お話を読み聞かせたりします。2週目に実際の自然に触れる活動をし、落ち葉を集めに公園に行ったりします。気温が低く寒くなることが予想される日には、前日に前もってバケツに水を張って、氷ができる様子を見てもらったりします。
このように、保育士はテーマごとの準備をしっかりすることで、子ども達に学んで欲しいことを誘導していくことが大切です。

 

怒らない・叱らない 伝える保育

元気キッズでとても大切にしていることがあります。
それは保育士は、むやみに怒らない・叱らない。ちゃんと気持ちを伝えることを大切にしています。
子どもの行動には必ず理由があります。その理由を理解することが保育者の大切な仕事です。
望ましくない行動をした時に頭ごなしに怒ってもなんの解決もなりません。むしろ子ども達の自尊感情を大きく損わせることになります。
保育士は全身全霊で、子どもの気持ちを汲み取ることこそが仕事です。

 

導入を進めて感じたこと

このような考えでピラミーデ保育を導入を進めている真っ只中ですが、物凄い手応えを感じております。
例えば、コーナー保育をしていくと、走り回る子が激減し、やりたいことに没頭している姿を多く見られます。
夏前に比べ、レゴの出来がどんどん複雑になっていたりしてびっくりしました。
何より、今までにもまして、子ども達が楽しそうに保育に参加し、まるで我が家のようにリラックスしている様子が見受けられます。

まだまだ道半ばですが、これからもピラミーデの保育理論を基本として、子ども達にとって最高の場所になるよう職員一同励んでまいります。

 

保育園、児童発達支援事業所
元気キッズ
代表 中村敏也

中村 敏也

Nakamura Toshiya
埼玉県内に、保育園、児童発達支援施設、保育所等訪問支援事業所、病児保育室、放課後児童クラブ、相談支援事業所を運営。子どもが笑顔で過ごせる保育園にするためには、職員が楽しめる職場であることが重要。職員が意見を言いやすい職場の雰囲気作りや福利厚生面など、働きやすさも重視した環境作りに力をいれている。
株式会社SHUHARI代表取締役
株式会社sopo代表取締役
新座市子ども子育て会議委員
中村敏也